8月も終わりに差しかかり、少しずつ朝晩に秋の気配が漂い始めています。
本業ではお盆明けからフル稼働という企業も多く、私たちも例に漏れず、現場と向き合う日々が続いています。
そんな中、昨日(8月25日)、18時から開催された製造業向けDXウェビナーを受講しました。1時間という枠でどのような示唆が得られるかを楽しみにしていました。
しかし正直に言えば、率直な第一印象は「弱いな」というものでした。
ペルソナ設定と手段のチグハグさ
まず感じたのは、「ほとんどデジタルに触れたことがない層」をターゲットにしているにもかかわらず、Zoomウェビナーという手法をとっていることへのちぐはぐ感です。
これでは情報に触れてほしい層に届きにくいのでは?という疑問が浮かびました。
また、資料内の説明も非常に初歩的ではあるものの、表現の正確性に難がありました。
たとえば、生成AIの文脈で使われる「ハルシネーション(hallucination)」という用語が「ハルネーション」と誤って表記・発話されているなど、細かい点ながらも信頼性に疑問を感じる部分がいくつかありました。
「知識のない人が、より知らない人に売っている」感覚
講師の語り口や構成から受けた印象として、「AIのことをそこまで詳しくない人が、より詳しくない人に営業している」ような距離感を感じました。
こういったセミナーでは、「実際に自分たちが関わった企業でどのように課題解決したか」というリアルな事例と葛藤の共有があってこそ、聴き手は「自分ごと」として捉えられるものです。
しかし今回はそうした深みはなく、
「製造業ではこんな使われ方がされています」
という表面的な紹介に留まり、それがこのDXコンサルそのものの価値を示しているかというと、正直疑問符が残りました。
比較対象としての「にいがた経済新聞×にいがたAIビジネス セミナー」
一方で、先日行われた「にいがた経済新聞×にいがたAIビジネス」のセミナーにも、実は参加していました。
にいがたAIビジネスのセミナーでは、より具体に寄った困りごとと解決策の提案もあり、構成・深さ・現場との接続感の面で、圧倒的に納得感がありました。
ワークショップの有無に関わらず、あちらの方が「聞く価値があった」と感じられたのは、話し手が自らの手で考え、現場に近い場所で対話を重ねているからだと思います。
石川鍍金としての立ち位置:「DX=仕組みと空気を変えること」
私たち石川鍍金工場では、「DX=IT導入」ではなく、「情報の流れを整え、仕事の空気を変えること」だと考えています。
たとえば、TeamsやLoop、PowerAutomateを活用して社内の情報共有を変えること。
あるいは、QMS(品質マネジメントシステム)を紙から脱却させ、「誰が見ても仕組みで動く」構造を目指すこと。
これは、単に便利になるという話ではなく、「現場で判断ができる」「誰かの頭の中でしか動かなかったものが仕組み化される」という意味で、真の価値を持つ変化だと考えています。
最後に
ウェビナーに参加して得たのは、「何をDXと言うのか」「どんな視点で見るのか」を問い直す良い機会でした。
流行語としてのDXではなく、生きた現場で、どう人が動き、どう成果につなげるかをこれからも考え、実装していきたいと思います。